世界一周ヨガ旅を終えて — 旅はヨガで、毎日がヨガ

世界一周ヨガ旅を終えて — 旅はヨガで、毎日がヨガ

約2年半にわたる世界一周ヨガ旅が終わりました。
「世界中のヨガを体験すること」をテーマに、29カ国を巡った旅。
世界中のヨガを学びたい、ヨガとは何か、私にとってのヨガとは何か…… その答えを求めて、ヨガインストラクターとしてまだまだ未熟な私が始めた旅でした。

旅のスタート
旅のスタート

共通するヨガへの想い

インドでは本場のヨガに触れ、神秘的なものとつながる感覚を味わい、ヨーロッパではヨガを通して宗教を超えたつながりを感じました。南米では、自然信仰の美しさにも出会いました。

旅の途中
旅の途中

自分の知らなかった世界に触れ、これまで考えたこともなかった価値観を持つ人たちと会話を重ねる中で、自分の価値観が少しずつ広がっていくような感覚がありました。

その中で、特に面白いと感じたことがあります。
世界中にさまざまな形でヨガが広がっている一方で、ヨガを始めた理由やヨガに向ける想いは、国を超えて共通していたことです。「心を安定させたい」「健康で平和に過ごしたい」「ヨガが好き」……
ヨガを続けている人たちは、穏やかで平和な雰囲気を持つ人が多く、旅を続けるにつれて自分自身の心も少しずつ落ち着き、穏やかになっていく様子を感じていました。

旅で出会った人たちとのふれあい
旅で出会った人たちとのふれあい

旅での学び

旅を終えて日本に帰国し、この旅で何を学び、何を感じたのかを改めて考えてみました。そのとき、ふと浮かんできた言葉があります。

「うまく言葉にできない」

その言葉が出てきたことに、自分自身が一番驚いていました。

何も感じていなかったわけではありません。むしろ、旅の中でたくさんの経験や素敵な言葉をもらい、私の中には宝物があふれているような感覚がありました。ただ、それらを一つの“答え”としてまとめようとすると、どこか違和感を覚えたのです。

世界を旅する中で、ヨガはとても深く、美しく、そして神秘的なものだと感じていました。そんなヨガを、何か中途半端な言葉でまとめてしまうことは、どこか失礼なことのようにも感じていたのです。だからこそ、無理に答えを出そうとせず、日本の生活に戻る中で感じたことを、一つひとつ大切にしていこうと思いました。

帰国
帰国

帰国してから

心地よい日本でのヨガ

まずは、世界一周ヨガ旅に出発する前からお世話になっていたヨガの先生のクラスに参加しました。久しぶりに日本で味わうヨガ。文化の違いも言葉の違いもなく、どこかみんなが仲間のように感じられる空間でした。
アーサナや呼吸、瞑想を、ゆっくりと丁寧に味わうヨガの時間は、とても快適でした。久しぶりに聞く日本語でのインストラクションも、驚くほど自然に耳に入ってきて、心地よさを感じました。
安心できる空間の中で、自分の心や身体と落ち着いて対話できる時間。

この旅の間、さまざまな国で多くのヨガクラスに参加しましたが、日本で受けるヨガは、私にとって特別なものだと感じました。
例えるなら、インドの本場のカレーもとても美味しいけれど、私にとっては日本のカレーの方が美味しくてしっくりくる。そんな感覚に近いと思います。例えが下手で、失礼に感じさせてしまったら申し訳ないのですが、自分の中では、この表現が一番近いように感じました(笑)。

だからこそ、日本でこれまで学んできたヨガは間違いではなかったのだと、改めて感じることができました。そして、これからも誇りを持って、大切にし続けていきたいと思いました。

帰国後
帰国後

仕事の中での気づき

その後、滋賀県のホテルで2カ月ほど仲居のアルバイトをしました。理由は、世界一周をしたことで貯金がほとんどなくなってしまったからです(笑)。

久しぶりの日本での仕事。
少しのワクワクと同時に「久しぶりすぎて、本当に働けるのだろうか」という大きな不安もありましたが、実際に働いてみると職場の人たちはみんな良い人で、お客さんも穏やかな方が多く、ひとまず安心しました。

しかし、働いているうちに、少しずつ違和感を覚えるようになりました。お客様のために、少しでも良いサービスを、1秒でも早くより良いものを届ける…… そんな空気感を、スタッフ全体から強く感じたからです。
もちろん、それ自体はとても素晴らしいことだと思います。しかし同時に、「そこまでしなくても、お客さんは十分満足するのではないか」と感じる場面もありました。なぜなら、「お客様のために」とスタッフが互いを高め合うあまり、少し疲れていたり、無理をしていたりするように見えることがあったからです。

そのとき、ニュージーランドのマッサージスパで働いていた頃のことを思い出しました。
当時、ペアを組んでいた同僚が、お客さんが待っているにもかかわらず、ゆっくりと準備をしていました。私は思わず「早く行こうよ」と声をかけたのですが、彼女は笑いながら、こう言いました。
「大丈夫。彼らは待つことができる。」(No problem, they can wait.)
結局、彼女は落ち着いて準備を整え、とても丁寧なマッサージを提供しました。その結果、お客さんはとても満足した様子で帰っていったのを覚えています。

この経験を思い出したとき、お客さんのために最善を尽くすことはもちろん大切だけれど、それと同時に、スタッフ自身の心の余裕や幸せも、同じくらい大切なのではないかと感じました。
そう考えると、日本ではお客さんのためにスタッフが少しだけ頑張りすぎていて、そのバランスが崩れているようにも感じました。

一方で、日本のお客さんのマナーの良さには、改めて驚かされました。ホテルの朝食バイキングでは、多くの人がきちんと列に並び、料理台やテーブルをなるべく汚さないよう気を配りながら食事をしていました。中には従業員のために、食器の整理や片付けを手伝ってくれる方もいて、その光景がとても印象に残っています。温泉でも譲り合いながら利用し、洗面台を汚さないように使用します。
そうした一つひとつの行為が、世界一周から帰ってきたばかりの私にとっては、決して「当たり前」ではありませんでした。
日本の人たちは、なんて礼儀正しく、思いやりにあふれた人たちなのだろう。そんなことを、改めて感じさせられました。

日本の社会はとても真面目で効率的です。しばらく働いていると、日本で働いていた頃に戻ったような居心地の良さも感じるようになりました。ただ、そこに適応しようとするあまり、自分が少し小さくまとまってしまうような感覚もありました。相手に気を使いすぎてしまうこと。目立ちすぎないように振る舞おうとすること。気づけば、必要以上に頑張ってしまっている自分がいました。どこか、世界一周に出る前の自分に戻ってしまったような感覚……

ただ、以前と違っていたのは、その自分を少し離れた場所から見ている自分がいたことでした。世界一周を経験したことで、旅に出る前と同じような状態になったとしても、そこに飲み込まれるのではなく、一歩引いて客観的にその状況を眺められるようになっていました。そんな小さな変化を感じながら、短期のアルバイトは終わりました。

そして改めて、日本には、優秀な人が多く、優しい人も多い。自然は美しく、ご飯は美味しく、安全に生活できるとても素晴らしい国だと感じました。

日本の素晴らしい風景
日本の風景

「あなたにとってヨガとは?」

日本の生活が落ちつき、改めて世界一周ヨガ旅の日々を振り返るようになりました。
そんな中で、イギリスのリトリートセンターで聞かれた「あなたにとってヨガとは?」という問いが、私の中で強く印象に残っていました。

イギリスで質問された当初は、自分なりの答えをうまく言葉にまとめることができませんでしたが、当時は「世界一周の旅が終わる頃には、自分なりの言葉が見つかるだろう」と考えていました。
しかし、旅が終わり日本に帰国した直後、その答えを明確な言葉にできていない自分に、驚きと少しのショックを受けたのです。

イギリスでの一枚
イギリスでの一枚

それでも、日本で日々生活する中で、
少しずつ浮かんできた言葉がありました。

それは、「つなぐ」という言葉。世界。人。自然。心と身体。ヨガは、さまざまなものをつなげてくれる存在のように感じました。

そしてある日、実家に帰ったときのことです。ヨガを学び始めた頃の資料を、ふと見つけました。そこには、「ヨガとはサンスクリット語で、つなぐという意味」と書かれていました。
正直なところ、その言葉を教わった当初は、いまいち意味を理解できていなかったと思います。しかし、世界一周ヨガ旅を終えた今、あらためて
「ヨガとはつなぐ」という言葉を目にしたとき、この言葉が私の中で静かに腑に落ちていく感覚がありました。

ただ、それを一つの答えとして決めてしまうのではなく、これからも日々の中で、ヨガとどう向き合っていくのかを大切にしていきたいと感じています。

旅はヨガで、毎日がヨガ

刺激的なものを求めて冒険することも大切ですが、日々、身の回りのものと丁寧に向き合い、穏やかに過ごし、小さなことにも喜びを感じながら生きる。そんな感性を、これからも磨き続けていきたいと思っています。

日本の風景
日本の風景

「ヨガをすれば、その国が見えてくる」
そんなことを感じながら、世界を旅した約900日間。

たくさんのヨガを学び、素敵な方々と出会い、素晴らしい景色を見ることができました。
この記事を書かなければ、ここまで自分の旅を振り返り、意味を見出すことはできなかったと感じています。旅を始めた当初、まだ何者でもなかった私の提案を受け入れ、その後も丁寧に記事の編集をしてくださったヨガジェネレーション編集部の皆様、ならびに関係者の皆様には心より感謝申し上げます。そして、最後までこの記事を読んでくださった読者の皆様、本当にありがとうございました。そしてこの旅で出会ったすべての方々に、心からのお礼を申し上げます。

これからは、日本でヨガインストラクターとして活動していきます。どこかで皆様とご縁があれば、とても嬉しいです。その際は、旅の話やヨガの話で楽しく盛り上がりましょう。皆様に、どこかでお会いできる日を心から楽しみにしています。
最高の時間をありがとうございました。

富士山
富士山