マミーブレインとは? 産後の脳をヨガでリカバリーできる理由

マミーブレインとは? 産後の脳をヨガでリカバリーできる理由

産後のリフレッシュや運動として、ヨガをはじめられる方も多いのではないでしょうか?
一方で、産後にヨガをしていて「以前ほど集中できなくなった気がする」「何度やっても動きをおぼえられない」と感じたことはありませんか?
それは、マミーブレインの仕業かもしれません。出産を機に、女性の身体は大きく変化していきます。今回は、産後の女性に起こるマミーブレインという現象に着目して、ヨガが産後のケアにどのような効果をもたらすのかお伝えします。

生理学からみるマミーブレイン

脳や感情の変化で疲弊する女性
脳や感情の変化で疲弊する女性

最新の脳科学研究では、産後の女性の脳において灰白質という領域のボリュームが一時的に減少することが確認されています。これは老化や退化ではなく、「シナプスの刈り込み」と呼ばれ、育児において優先順位の低い論理的思考や長期記憶の回路を一時的に削ぎ落とし、赤ちゃんのわずかな表情の変化や泣き声に反応するための共感や非言語コミュニケーションの回路が研ぎ澄まされる現象です。産後の女性の脳は、いわば育児特化型モードへと変化するのです。

また、産後、分泌が一気に増える授乳ホルモンであるプロラクチンは母性愛を育む一方で、外敵への攻撃性を高める側面を持っています。そして脳の感情センターである扁桃体が過敏になり、常に24時間体制の警戒アラームが鳴り響いている状態になります。この状態が、アドバイスが攻撃的に聞こえたり、パートナーに激しい怒りを感じたりする原因となることもあります。

私自身の経験ですが、産後、助産師さんからの何気ない助言を攻撃と捉えてしまい、過覚醒(交感神経が優位になりすぎてフリーズした状態)に陥り、眠剤が必要なほど消耗した時期がありました。
出産は、身体に大きなダメージがあるだけでなく、脳や感情も大きく変化し疲弊していることがよくあります。

ヨガがマミーブレインにもたらす効果

アーサナで身体をのばす女性
アーサナで身体をのばす女性

では、なぜヨガがマミーブレインのリカバリーに効果的なのでしょうか?
3つの視点からお話します。
まず1つ目は、迷走神経への直接介入です。過覚醒状態の脳に対し、言葉で「リラックスして」と言ってもなかなか届きません。しかし、深い呼吸、特に吐く息を意識的に長くすることは、迷走神経を通じて脳幹に「今は安全だ」という信号を強制的に送ることができます。ヨガの細く長く吐く呼吸は、意図的にリラックスの状態を作ることができます。

2つ目は、前頭前野の再起動です。マミーブレイン期は、思考を司る前頭前野の機能が一時的に低下します。アーサナを通じて、足の裏の感覚や筋肉の伸びといった身体感覚に意識を戻すことは、低下した脳の調整機能を呼び覚ますリハビリになります。同じポーズでも、自分自身の身体感覚に意識を向けるリードがあることで、産後ママならではの気付きがあるかも知れません。

3つ目は、脳の鎮静です。常に赤ちゃんの状態に敏感に反応し続けている脳のエネルギー消費を、「今」を感じるマインドフルな動きによって抑え、脳の疲労を回復させることが期待できます。

産後ヨガクラスで大切なこと

産後ママに向けたヨガクラスをされている方は、いらっしゃいますか?

マミーブレイン期のママに必要なヨガクラスのポイントは、常に外(子ども)ヘ向いているアンテナを、意図的に自分自身の内側に向けることにあります。テレビや携帯などのデジタル機器も外からの刺激になり、脳のエネルギーを消費させてしまいます。
ヨガで自分の呼吸や感覚、今に意識を向けることが、疲弊した脳の回復につながります。そして、シャバーサナで脱力することは、脳の再構築を一番助けることになります。最後は是非、シャバーサナの時間を取り入れてください。

産後の女性たちは自分の変化に戸惑いながらも、なかなかそれを言い出せないことがあります。 看護師として、そして3人の母として私が強く感じるのは、生理学的な身体の仕組みを知るだけで、救われる心が確実にあるということです。
ヨガを通して、頑張り続ける自分に気付き、心と身体を緩めるきっかけになりますように。